【2023年版データで見る】事務職の平均年収は350万円!?年収に影響する要素と年収を上げる方法を解説

2024年10月29日

他部署の人と比べて、自分の給料が低いことに不満を感じている事務職の方はいませんか?

事務職の仕事は会社の売上に直接貢献する要素が少なく、評価されにくい部分があります。責任や負担が少ない反面、基本給が低く設定されたり、手当が少なかったりして、事務職の年収は低くなりがちです。

給与アップ、年収アップを願っても上手く行かないと落ち込む人もいるのではないでしょうか。

しかし、事務職で働いていてもやり方次第で年収アップは可能です。

今回は事務職の平均年収を紹介し、年収アップする方法を解説していきます。自分に合う方法を取り入れて、事務職も年収アップを目指しましょう!

【2023年調査結果】事務職の平均年収は400万円~500万円程度

まず、事務職の平均年収はどれくらいなのか、公的なデータを見てみましょう。令和5年賃金構造基本統計調査によると、事務職(事務従事者)の給与・賞与は次の結果でした。

企業規模10~99人100~999人1,000人以上
毎月の給与279,000円297,300円331,800円
年間の賞与(ボーナス)657,100円935,600円1,170,100円
推定年収4,005,100円4,503,200円5,151,700円
(手取り額)300万円~340万円程度338万円~383万円程度386万円~438万円程度
e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」より作成

※毎月の給与は「支給する現金給与額」から、時間外手当(残業代)などを差し引いた「所定内給与額」の項目を参照
※年間の賞与は「年間賞与、その他特別給与額」の項目を参照
※推定年収は毎月の給与×12ヶ月+年間の賞与として算出

さて、現在事務職で働いている方から見て、この結果はいかがでしょう?
自分の現在の収入や年収と比較して、多い印象を持たれた方もいるのではないでしょうか?

実は同じ事務職でも、男女別で給与に差が出ています。

事務職で働く女性の平均年収は360万円~410万円程度

先ほど紹介した事務職の収入データは男女合わせての結果でしたが、男女別にすると以下の通りです。

企業規模10~99人100~999人1,000人以上
毎月の給与 男/女329,100円/253,800円346,000円/263,300円385,900円/279,600円
年間の賞与 男/女796,600円/586,700円1,192,700円/755,800円1,516,600円/835,700円
推定年収 男/女4,745,800円/3,632,300円5,344,700円/3,915,400円6,147,400円/4,190,900円
男女の年収差女性は約111万円少ない女性は約143万円少ない女性は約196万円少ない
e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」より作成

女性の比率が多い事務職の実態を考えると、女性に絞ったデータを見たほうが現実に近いのではないでしょうか?

役職者を除いた女性事務職の平均年収は340万円~390万円程度

役職者を除いた、事務職の女性で収入データを見ると、平均年収はさらに下がります。

企業規模10~99人100~999人1,000人以上
毎月の給与244,300円250,400円267,000円
年間の賞与533,800円677,700円739,300円
推定年収3,465,400円3,682,500円3,943,300円
(手取り額)260万円~295万円程度276万円~313万円程度296万円~335万円程度
e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」より作成

また、10人未満の企業は調査対象に含まれていません。ごく少数でやっている会社の事務職は、さらに年収が低いと考えられます。調査に含まれない人の年収を考えると、実際の事務職の平均年収はもっと低いと思われます。

事務職の年収に影響を与える要素とは?

事務職の年収事情を見てきましたが、年収は何によって変化するのでしょうか。ここからは、事務職の年収に影響を与える要素を解説します。

年収に影響する要素がわかれば、年収アップのために何をすべきかのヒントとなるでしょう。

業界による違い

収益性が高い業界や今後の需要・成長性が見込まれる業界は、全体的に給与水準が高い傾向です。

事務職の年収にも業界による違いは反映されるため、年収を増やしたいなら好調な業界に移るのも選択肢でしょう。その場合、転職先の業界をしっかり調べておく必要があります。

企業規模による違い

先ほど紹介した年収データでも、企業規模が大きくなるにつれて給与・賞与は高くなっていました。同じ事務職でも、中小企業よりは大企業で働いたほうが、年収は高くなると考えられます。

収入アップを狙って転職するなら、転職先の企業規模にも着目しましょう。

職種による違い

同じ事務職でも、専門性の高い部署では年収が高くなる傾向です。

 企画秘書庶務・人事会計電話応対
毎月の給与325,000円308,900円275,600円258,000円243,000円
年間の賞与1,275,800円862,600円1,056,800円863,400円261,600円
推定年収5,175,800円4,569,400円4,364,000円3,959,400円3,177,600円
e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」より作成

※役職者を除く職種別(小分類)から企業規模1,000人以上の女性の給与データを参照

他部署への異動により、専門性の高い事務仕事をするようになれば年収が上がる可能性もあるでしょう。

ただし、希望通りに異動できるとは限りませんし、企業によっては事務職を分野別に分けていないケースもあります。専門性の高い仕事を受け持つため、ハイレベルなスキルや資格の取得を求められることもあります。

年数による違い

企業規模を問わず、年齢が上がるにつれて年収は上がる傾向です。

※e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」を元に作成

勤続年数が長くなるほど基本給アップが考えられ、経験による手当の追加などもあるでしょう。転職を考えていないなら、地道に今の職場でスキルアップして評価を高めるのも年収アップの方法です。

事務職で年収を上げる方法

ここからは、事務職で年収を上げる具体的な方法を紹介します。自分に合う方法を実践し、事務職で働く人も年収アップを実現しましょう。

資格取得やスキルアップで年収を上げる

資格取得やスキルアップにより、自身の人事評価を高めて昇給できれば、事務職も年収がアップします。評価基準は会社ごとに異なるため、周囲の事例や会社の規定を確認して、どのような取り組みが効果的か考えてみましょう。

ただし、資格取得による給与アップは職種を限定しているケースもあります。会社として推奨している資格であっても、事務職では活かせる場面がないとみなされるためです。資格取得に挑戦するときは、その資格を取った結果どうなるのかを考えましょう。

昇進・昇格して年収を上げる

事務職も管理職になれば、基本給が上がったり、手当が増えたりして収入が上がるでしょう。担当業務をこなすだけでなく、部署内を統括するスキルが求められますが、年収アップにつながる方法です。

しかし、会社によっては事務部門の管理職は、事務で働いていた人が昇格するのではなく、管理部門や営業部門などの人物を据えるケースもあります。

事務タヌキのエピソード

実際、私が事務で働いていた職場も、事務職で働く人は全員横並びであり、上司にあたる人は営業部門出身の方でした。つまり、事務職の業務内容や実態を経験したことのない人が上に立ってるんですね。
だから、業務の改善希望を出しても何だか響かないというか……
「事務歴の長い○○さんが上司ならいいのに」って思うシーンが多々ありました。

キャリアチェンジで年収を上げる

同じ事務職でも専門性の高い部門へキャリアチェンジすると、給与が上がる可能性があります。たとえば、経理や労務、法務などの事務職は、一般事務よりも給与を高く設定していることが多い印象です。営業事務も営業職をサポートし、売上貢献に直接つながることから、給与アップを狙えるでしょう。

しかし、専門性の高い事務部門へは簡単に異動できないケースも。資格取得が必須であったり、専門知識が求められたりと、要求されるスキルも高くなります。

そもそも、会社規模によっては事務職を細分化しておらず、事務職内での部署異動がない・給与が変わらないというケースもあります。組織体系や給与の規定を確認したうえで、キャリアチェンジを考えましょう。

長く勤めて年収を上げる

基本的に、勤続年数に応じて基本給が少しずつ上がる傾向です。劇的な変化を狙える方法ではありませんが、現在の仕事内容や職場環境に問題がないなら、時間を味方に付けて年収を上げるのも良いでしょう。

正規雇用になって年収を上げる

パートや派遣の事務職で働いていて年収を上げたい場合は、正規雇用になるという方法もあります。正規雇用になって時給制から月給制に変化するだけでも、年収に違いが出るでしょう。さらに、賞与も受け取れるようになれば、大きな差が出ます。

ただし、派遣からの転用や正社員化を実施しているかは企業ごとに違うため、確認が必要です。正規雇用により、パートや派遣で働いていたときは免除されていた業務も割り振られることもあるでしょう。

より高いスキルや責任ある仕事を担当することになり、人によっては負担に感じるかもしれません。正規雇用になって年収を上げる場合は、現在のライフスタイルや自分の適性に合うかも考えましょう。

事務タヌキのエピソード

私も派遣社員から契約社員になった経験があり、派遣で働いていたときより収入は安定しました。給与が時給計算の派遣社員時代は、連休のある月は収入がガクッと下がっちゃうんですよね……。
その分、派遣社員時代のほうが、気楽な部分もあったのですが……

転職して年収を上げる

同じ事務職でも業績好調な業界や企業で働くほうが、給与は高い傾向です。今の職場ではなかなか給与が上がらない、上がっても伸びしろが少なく不満に感じるなら、転職も視野に入れましょう。

転職して年収を上げたいなら、業界研究や自身のスキルアップも重要です。また、転職先の就業条件もしっかり確認し、「高収入だと思ったら残業代込みの給与モデルだった」「提示されていた給与は有資格者の場合だった」など、「こんなはずではなかった」と思うことがないようにしましょう。

副業して年収を上げる

少し、方向性の違う年収アップ方法ですが、副業に取り組んで年収を上げる方法もあります。現在働いている事務職での負担が少なく、ほぼ定時で帰れる状態なら、フリーな時間を活かして副業に挑戦するのもおすすめです。

まとめ:事務職だって年収アップを目指そう!

2023年の調査によると、事務職で働く人の平均年収は400万円~500万円でした。しかし、女性だけに限定し、役職者を除いた平均年収は340万円~390万円にまで下がります。勤続年数が少ない人はさらに年収が低いと考えられ、そこから社会保険料や税金を差し引くと、手取りは200万円台になるでしょう。

年収を上げるにはスキルアップや昇進、キャリアチェンジ、転職などが考えられます。自分に合う方法で年収アップをめざしましょう。

この記事を書いた人
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事務たぬき

事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。