お歳暮シーズンの困りごと対策!取引先・顧客への贈り方と受取時の注意点を解説
12月になると、お歳暮の受け渡しシーズンに突入します。11月に入ると、取引先や顧客へ贈るお歳暮の手配に追われる事務員の方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、お歳暮を贈る時期や手配時の注意点、受け取ったときの注意点などをまとめました。
お歳暮を贈る目的と意味
お歳暮は今年1年を振り返り、お世話になった方への感謝と来年に向けた挨拶の気持ちを込めて送る贈答品です。ビジネスシーンでも、取引先や顧客に対してお歳暮を贈ることがあります。
お歳暮を贈る時期は12月上旬から12月25日頃まで
お歳暮を贈る時期は、12月上旬から12月25日頃までが一般的です。もともと、12月13日から始めるお正月に向けた支度「事始め」の時期に合わせて品物を贈る習慣から、お歳暮が始まりました。
関東のお歳暮 | 11月下旬~12月20日前後 |
関西のお歳暮 | 12月13日~12月31日 |
沖縄のお歳暮 | 12月初旬~12月25日前後 |
ただし、地域や贈る品物によっては時期をずらしたほうがよいケースもあります。
お正月に食べて欲しい食品をお歳暮として贈る場合は、大晦日近くに届くほうがよいでしょう。賞味期限の短い生鮮商品を贈る場合も、相手への配慮が必要です。相手不在の時期に届けてしまうと、賞味期限内に受け取れない恐れも。賞味期限の限られる品物を贈るときは、事前に相手の予定を確認して段取りしましょう。
お歳暮を手配するときの注意点
得意先や顧客へのお歳暮を手配するよう指示されたとき、注意したい事柄をまとめておきます。
ただし、ここで紹介しているのは、一般的な例です。お歳暮を手配する際のルールが既に決まっているなら、ルールに従って準備しましょう。
ルールが決まっておらず、担当者や上席から「お歳暮を準備しておいて」と雑に指示された場合、以下の注意点を確認のうえ準備を進めましょう。
お歳暮の予算は3,000円~5,000円程度
ビジネスシーンにおけるお歳暮の予算は3,000円~5,000円程度、特にお世話になった相手でも1万円程度までが相場です。高価すぎるお歳暮は相手が恐縮し、気を使わせてしまうため注意しましょう。
取引先へのお歳暮に選ぶ品物
取引先の会社や事務所宛のお歳暮なら、保管しやすく、分けやすいもの、日常的な消耗品として使えるものが適しています。
取引先の会社・事務所へ贈る品物 | おすすめポイント |
日持ちする小分けの菓子類 | お茶請けや訪問客へのおもてなしに使える 従業員で分けて持ち帰りやすい |
緑茶の茶葉、ティーバッグ、ドリップパック、インスタントコーヒー | 訪問客へのおもてなしに使える 事務所内の給湯コーナーで使える |
常温保存できる小分けのドリンク | 従業員で分けて持ち帰りやすい |
缶ビール | 事務所内で行う忘年会に利用できる 従業員で分けて持ち帰りやすい |
日持ちする菓子類は喜ばれる品物ですが、切り分ける必要があるものは避けたほうが無難です。
会社に勤めていた頃、カステラやブランデーケーキ、バームクーヘンなどがお歳暮として取引先から届くことがあったのですが、どのようにして分けるか毎年難儀していました。みんなで分けるなら切り分けないといけませんし、じゃぁ、誰が切り分けるのかと……。
ですので、菓子類を選ぶなら常温で日持ちする、小分けされたお菓子の詰め合わせがベストです。
ハムやソーセージのギフトも困りましたね。ひとまず事務所の冷蔵庫に保管するのですが、誰が持ち帰るのか、分けるならどうやるのかと……。生鮮食品は保管が難しく、日持ちしないものもあるため、会社・事務所宛のお歳暮には不向きな品物です。
ドリンク類も会社・事務所宛のお歳暮で喜ばれやすい品物ではあるのですが、180ml~350mlくらいの小分けされたもののほうが従業員に配りやすいですね。1Lや2Lのボトルだと配りにくく、事務所内で消費するにしても、開栓後の管理に悩まされる存在になってしまいます。
茶葉やコーヒー豆も少し注意したいところ。緑茶の場合、来客用のお茶出しセットで急須があるなら茶葉を使えますが、紅茶やコーヒーの場合、インスタントか1杯ごとのパックでないと使いにくくて分けづらいです。よい茶葉・よい豆でも、淹れるための道具が事務所にないケースは珍しくありません。
顧客個人宅へのお歳暮に選ぶ品物
顧客個人宅へ贈るお歳暮は、相手の家族構成や好みも反映した品物を選びたいところです。例年、品物が決まっているならルールに従って手配すれば済みますが、特に決まりごとがないなら担当者にもよく確認して選びましょう。
たとえば、お酒を飲まない方のところにビールや日本酒を贈っても困らせてしまいますし、食事制限をしている方に甘いお菓子を贈るのも問題です。
相手の好みが分からないなら、調味料や食用油、洗剤など、一般的な家庭で無難に使える日用品を選ぶとよいでしょう。ただし、お歳暮には避けたほうがよいとされる品物もあるため、以下のものは避けます。
避けたほうがよい理由 | |
刃物(はさみ、包丁、ナイフなど) | 縁切りの意味がある |
靴下や肌着 | 貧しい者への施しの意味がある |
スリッパやマット類 | 足で踏みつけるものと捉えられる |
ハンカチ | 漢字で「手巾」と書き「手切れ」に通じる |
櫛 | 「苦」「死」を連想させる読み方 |
これらの品物が、ビジネスシーンにおけるお歳暮の候補に挙がる機会は少ないかと思いますが、注意しておきましょう。
最近は、受け取った側が欲しい商品を選べるカタログギフト形式のお歳暮もあります。品物に迷う、相手の好みが分からないなら、カタログギフト形式のお歳暮を選ぶのもありです。
お歳暮の渡し方・送り方
元々、お歳暮は年末の挨拶に伺った際、相手に渡していましたが、現在は宅配便や郵送でお歳暮を届けるケースも珍しくありません。会社間のお歳暮なら、持参ではなく発送するケースも多いでしょう。
ただし、懇意にしている相手へのお歳暮は担当者が持参することも考えられます。お歳暮の手配を任されたときは、発送でよいのか、持参する予定があるのかを確認したうえで準備しましょう。また、お歳暮を持参する場合、風呂敷に包むまたは紙袋に入れて持って行くため、それらの準備も必要です。
お歳暮を発送する場合、早く着きすぎたり、お歳暮シーズンに遅れたりしないよう注意が必要です。お歳暮の品を注文したお店側で、お歳暮シーズンに合せた発送の段取りをしてくれるケースが多いですが、発送時期は確認しておきましょう。
お歳暮の熨斗紙
お歳暮の熨斗紙は、お店側にお歳暮だと伝えれば、適したものを用意してくれます。
お歳暮の熨斗紙は紅白の水引きが描かれたものを使用し、表書きを「御歳暮」、表書きの下に会社名や代表者名を書きます。
仕事上で必要なお歳暮の費用は経費で処理
仕事上で必要なお歳暮の費用は「接待交際費」として、経費に計上できます。経費処理のルールや手順は会社ごとに違いますので、確認して対処しましょう。
また、お歳暮を届けるときに必要な送料や交通費も「接待交際費」に含めることができます。
お歳暮を受け取れない相手もいる
会社規定でお歳暮の授受が禁止されていたり、贈答品を受け取れない立場だったりするケースもあります。
お歳暮を受け取れない相手の例
- 会社規定で取引相手からの贈り物が禁止されている人やその会社
- 議員や教師、役所の職員など公務員にあたる人やその団体
- 忌中(身内の不幸があってから49日以内/仏式の場合)にあたる人
こうした相手へお歳暮を贈ってしまうと、感謝の気持ちを伝えるはずが、迷惑をかけてしまう結果に。新しくお歳暮を贈ることにした相手へは、問題なく受け取ってもらえるかを確認したうえで手配しましょう。
お歳暮を受け取ったときの注意点
ここからは、会社や事務所宛に届いたお歳暮を受け取ったときの注意点をまとめます。
受け取ったお歳暮の品物は適切に扱う
受け取ったお歳暮の取り扱いについて、社内ルールが決まっているなら従いましょう。会社宛・事務所宛に届いたものであるため、勝手な判断で配ったり持ち帰ったりしてはいけません。
もし、受け取ったお歳暮の取り扱いルールが明確化されていないなら、今後のトラブルを避けるため、ルール化してもよいでしょう。その際は、上司や部署の責任者などに報告し、この取扱方法でよいかを確認しながらルール作りを進めます。
お歳暮の取り扱いルールとして決めておくこと
- 受け取った品物の保管場所
- 受け取った品物の取扱方法
- 贈り主のリスト作成と共有方法
受け取ったお歳暮は、あちこちバラバラに保管していると管理が難しくなります。お歳暮シーズンになったら置き場所を用意し、まとめて置けるようにしましょう。
受け取った品物の取り扱いについても、あらかじめ決めておくと処理がスムーズです。ドリンク類は給湯コーナーで自由に使えるようにする、お菓子は来客時に使うが賞味期限が近づいたら社内で消費する、缶ビールは従業員に配って持ち帰るなど、さまざまな方法が考えられます。
また、お歳暮を贈ってくれた相手の情報については、社内でも共有しておきましょう。送られてきた荷物を受け取った事務担当しか把握していない状況は避けるべきです。リストを作り、どこからお歳暮が贈られてきたかを共有しておけば、取引先と会話する際の話題にもできます。
贈り主へのお礼を伝える
お歳暮を受け取ったら、贈り主へお礼を伝えることも忘れてはいけません。封書やはがきでお礼状を送るのが丁寧な方法です。会社の規模や贈り主との関係性によっては、電話やメールで伝えることもあるでしょう。
いずれの場合も、社内でルールを決め、毎年統一した方法で行うとよいでしょう。
お礼状の例文
拝啓
師走の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、この度はご多忙な中、結構な品を賜り、誠にありがとうございました。
従業員一同、ありがたく頂戴いたしました。
新たな年が、貴社にとってますますのご繁栄となりますよう、お祈り申し上げます。
略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
お歳暮を受け取るシーズンは12月上旬から12月25日頃となるため、時候の挨拶は「師走の候」「寒冷の候」などが使えます。
11月下旬~12月上旬 | 向寒の候、初冬の候、孟冬の候、など |
12月全般 | 師走の候、寒冷の候、霜寒の候、など |
12月上旬~12月中旬 | 初雪の候、大雪の候、短日の候、など |
12月中旬~12月下旬 | 冬至の候、歳晩の候、など |
ビジネスシーンで受け取ったお歳暮に対するお礼状なら、12月全般で使える時候の挨拶にしておくと、時期に合わせて文面を変える手間が省けます。
ビジネスシーンのお歳暮に関するよくある疑問
取引先や顧客へのお歳暮は必ず贈らないとだめですか?
取引先や顧客へのお歳暮は、必ず贈らなければならないわけではありません。日頃の関係性や今後の付き合い方によって要不要は変わります。コストの面からも、付き合いのある相手全員へお歳暮を贈るのは大変です。
もし、仕事の関係が薄くなり、例年通りお歳暮を贈るのはためらわれるならば、取りやめても構いません。お歳暮を贈ることを止めた相手からお歳暮が届いた場合は、お礼状を出す際に今後は辞退したい旨を伝えましょう。
また、近年は取引先へ品物を贈る行為をコンプライアンス違反と捉えるケースもあり、贈答を禁止する企業も出ています。相手企業が贈答品の受け取りを止していないか確認したうえで、お歳暮の段取りをしましょう。
自社でもお歳暮の授受を禁止する場合は、事前に関連する相手への周知が必要です。相手に伝わっておらず、お歳暮が届けられた場合は一旦受け取り、次回からは辞退する旨を伝えましょう。
取引先や顧客へのお歳暮はどのようなものを選ぶとよいですか?
相手によりお歳暮に適した品物は変わりますが、ビジネスシーンならば3,000円~5,000円程度のものを選びましょう。
詳細は「取引先へのお歳暮に選ぶ品物」「顧客個人宅へのお歳暮に選ぶ品物」で解説しています。
お歳暮の手配が遅れてしまったら?
お歳暮の手配が遅れ、お歳暮シーズンに届けられなかった場合、お詫び状を出して年明け以降に品物が届く旨を伝えます。
ただし、年明け以降に贈る品物はお歳暮ではなく「お年賀」または「寒中見舞い」です。熨斗紙はお歳暮と同じ種類ですが、表書きを変更する必要があります。
「お年賀」と「寒中見舞い」のどちらになるかは、相手に贈る時期で変化します。
お年賀 | 年明け~松の内(関東では1月7日、関西では1月15日まで)の期間 |
寒中見舞い | 松の内明け以降~立春までの期間 |
なお、相手が喪中の場合、年賀状と同様にお年賀の贈り物はできません。お歳暮や寒中見舞いは贈っても構わないため、喪中の相手へのお歳暮が遅れた場合は、寒中見舞いとして贈りましょう。
事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。
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