【データで見る】40代事務職の年収は男女の差が拡大!年収に関する悩みや転職について

2025年5月6日

40代は仕事のキャリアも十分に積み、ライフステージの変化を経験してきた年代です。
子どもの進学や老後の備えなど、年代に応じたお金の悩みも発生するでしょう。
事務職で働く40代の人のなかには、今の年収では不安を感じることもあるかもしれません。

事務職はライフワークバランスが取りやすいものの、他の職種と比べると年収が多くないのが実情です。
今後の人生設計を考えると、不安が付きまとっても不思議ではありません。

今回は40代事務職の年収を取り上げ、データから見る年収額や40代事務職の悩み、年収を上げる方法などを解説します。

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40代事務職の年収は400万円台?

令和5年の賃金構造基準統計調査の結果によると、事務職で働く40代の推定年収は、男性が589万円・女性が417万円でした。

 男性女性
毎月の給与375,300円279,000円
年間の賞与(ボーナス)1,391,800円825,100円
推定年収589万円417万円

※e-Stat 統計で見る日本「令和5年賃金構造基本統計調査」より
※調査結果より年齢階級40~44歳と45~49歳の結果を加重平均して算出
※毎月の給与は「支給する現金給与額」から、時間外手当(残業代)などを差し引いた「所定内給与額」の項目を参照
※年間の賞与は「年間賞与、その他特別給与額」の項目を参照
※推定年収は毎月の給与×12ヶ月+年間の賞与として算出

同じ事務職でも、男女間での年収に大きな差が生じています。
このデータでは、年収に150万円以上の開きがありました。

30代事務職でも、男女の年収差はありましたが、40代になるとさらに開きが出ています。

40代事務職の男女で年収に差が開く原因

なぜ、事務職で働く男女では、収入に開きがあるのでしょうか?

それには、一個人の努力だけでは解決が難しい、現代の企業が抱える構造的な問題が含まれています。

産休・育休や時短勤務による仕事の制限

出産を経験する女性の多くは、産休・育休の取得と時短勤務により、仕事を制限せざるを得ない時期が発生します。
そのため、子どもを持った女性は出産前後の休暇でキャリアが中断し、その後も時短勤務のため仕事に挑戦する機会が奪われます。

男性の育児休暇を普及させる動きはあるものの、育児は女性が主体という考えがいまだ根強い状況です。
男性は子どもが誕生してもキャリアの中断が発生するケースはまれであり、時短勤務を選択して子育てに注力することも少ないでしょう。

加えて、家族の介護についても、女性側が主体となるケースが珍しくありません。
子育てのみならず介護も、女性のキャリアをストップさせる原因です。

結果として、事務職で働く女性は年収アップにつながる仕事に取り組む機会をなくし、年を重ねるごとに男女間で年収の開きを発生させます。

一般職として扱われるためのキャリア制限

従業員を総合職・一般職に分けている企業では、事務職は一般職に分類するケースが多いでしょう。

総合職一般職
管理職・幹部候補として採用し、組織の中核を担うためにさまざまな業務に挑戦できる定型業務・サポート業務がメイン
異動や転勤が発生することもある異動や転勤は発生しないケースが多い
成果次第で昇進・昇給の機会がある昇進・昇給は限定的

一般職は業務内容が限定的で、大きな責任の伴う業務を任されないため、ライフワークバランスが取りやすい仕事です。
家庭の事情を考慮し、一般職で採用される事務職を希望する女性は珍しくありません。
一方、男性は家庭の事情より、大きな仕事に挑戦できるかや昇進・昇給の機会があるかを重視し、総合職を希望する人が多いでしょう。

この選択が、同じ事務職でも男女間の収入差を発生させます。

事務職にも上司となる存在が必要となりますが、一般職で採用された事務職の人は役職者になれません。
この場合、他の職種を経験してきた総合職の人が、事務職を統括する役職に就きます。
そして、総合職は男性が多い傾向にあるため、男性が事務職で管理職になります。

結果、同じ事務職であっても女性は役職に就かず、他の業務を経験してきた総合職の男性が役職に就くため、男女間で収入の差を広げることになるのです。

40代事務職の年収に関する悩み

年齢が上がるにつれて、同じ職場・職種でも年収の開きは大きくなりがちです。
事務職も例外ではなく、経験年数や役職の有無などから、20代・30代の頃よりも年収に大きな差が生じることがあります。

新卒から事務職のキャリアを積み重ねていても、会社の給与体系や評価システム、業績によって年収は変化します。
事務職は非生産部門として給与を低く抑えている会社、業績悪化の傾向にある会社では、どんなに頑張っても望む年収に届かないかもしれません。

事務のキャリアを活かして管理職に就きたいと考えていても、一般職で採用されている人は管理職に就くことができないケースもあるでしょう。

事務職でも高収入を狙える会社に転職しよう考えても、40代になると年齢が大きな障害となるケースも珍しくありません。
キャリアチェンジを考えるにしても、40代から未経験職種への挑戦は、ハードルが高くなります。

このように、40代事務職は年収に悩みがあっても、即効性があり、大幅な改善を見込める選択肢は限定的です。
事務職で働く40代の人が年収を上げたいと考えるなら、自身のキャリアをしっかり棚卸し、求める年収額はいくらか、それは現実的な金額かを考えて行動する必要があります。

40代事務職が年収を上げるには?

40代事務職が年収を上げるには、以下の方法が考えられます。

40代事務職が年収を上げる方法
  • スキルに磨きをかけて評価を上げる
  • 経験を活かした業務提案で評価を上げる
  • スキルとキャリアを活かせるところに転職する
  • 副業に取り組む

同じ職場で働き続けることを前提に年収アップを狙うなら、スキルと経験を生かした方法で人事評価を上げることが正攻法です。

評価される資格があるなら、取得を検討しましょう。
既に保有している資格に上位資格があるなら、そちらに挑戦するのも手です。

資格取得に限らず、経験により培われてきた自身の価値を活用して、評価を高める方法もあるでしょう。
社内のコネクションや経験に裏打ちされた説得力のある意見で業務改善を提案できれば、大きな評価につながる可能性があります。

転職も年収アップにつながるアクションですが、40代になると年齢がネックになりがちです。
もし、年収アップを狙って転職するなら、キャリアを活かせる仕事に絞り、労働条件をしっかり見極めましょう。
安易に転職を決めてしまうと、年収が下がる恐れもあります。

また、本業以外の仕事を受注し、副業収入を得ることも年収アップの方法です。
本業の負担が少なく、定時退勤・有休消化がしやすい職場環境なら、終業後や休日を使った副業もおすすめです。
ただし、会社規定に引っかからないか、税務処理が問題なく行えるかには注意しましょう。

いずれの場合も、十分に検討したうえで取り組むことが重要です。
自身のスキルや得意分野、今までのキャリアを棚卸し、どのような方法が良いかを考えて行動に移しましょう。

40代事務職が転職するなら?

転職市場における年齢制限はなくなってきているものの、40代となれば未経験よりも断然、即戦力人材であることが重要です。

挑戦したい仕事があり、年収は気にしないと考えるなら、未経験の仕事に転職するのもよいでしょう。
しかし、年収アップを狙って40代事務職が転職するなら、今までのキャリアをどれだけアピールできるかが重要です。

求人によっては年齢に上限を設けているケースもあるため、20代・30代と比べると、求人情報の件数が限られるのは否めません。
経験者であれば年齢上限を超えても面接してくれるケースはあるようですが、求められる水準が高くなり、難易度は上がるでしょう。

まとめ

事務職で働く40代の推定年収は、男性が589万円・女性が417万円です。
同調査での30代よりも、男女間の年収差がさらに広がりました。

男女の年収に開きがあるのは、個人の資質や努力だけでは解決できない、社会的な構造も原因であると考えられます。

もし、事務職で働く40代の方が年収を上げるために転職を考えるなら、自身のキャリアをどれだけアピールできるかが重要です。
20代・30代と比較すると求人情報が限られ、求める人物像の水準も高くなることを考慮して、転職活動に挑みましょう。

この記事を書いた人
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事務たぬき

事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。

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