体験談:営業事務はブラックな事務職?働くときの注意点は?体験して感じた話

新卒採用が狭き門だった時代、なんとか掴んだシフト勤務の接客業。
頑張りはしたものの自分に合わない仕事であると自覚し、土日休みの内勤事務職へと転勤を果たした事務たぬきでしたが、転職先の会社は倒産してしまいました……

あらためて仕事を探さなければならなくなり、見つけた職場は小売業の営業事務。

今回は、営業事務の仕事をやってみた体験を書いていきます。

営業事務ってどんな仕事?

営業事務は、営業職のサポートに特化した事務職です。
「営業アシスタント」と表現する職場もあるかもしれません。

仕事内容の詳細は部署や会社によって違うと思いますが、当時事務たぬきがやっていた業務を列挙すると……

事務たぬきが対応していた営業事務の仕事内容
  1. 電話対応、受付対応
  2. 商品の受発注
  3. 受注内容の入力処理
  4. サンプルの手配
  5. 見積書や提案資料の作成
  6. 納期短縮や仕切り値の交渉
  7. 資料のファイリング
  8. 取引先への同行(忘年会含む)
  9. 事務所内や会社施設の清掃

だいたいこんな感じだったと思います。

ただ、同じ営業事務という立場でも、業種や会社によって仕事内容は大きく変化します。

事務たぬきの場合は小規模な会社だったこともあり、業務範囲がかなり広く……
電話対応も事務素内の清掃も、事務のメンバーで協力してやらなければならない状態でした。

でも、会社によっては電話対応はあまりなくて書類作成とファイリングがメインとか、清掃は専門業者を入れるので自分の机周りをキレイにするだけでよいとか……
そういうパターンもあると思います。

なので、営業事務で働く場合、どんな業種で・どんな商材を扱っているか、対応する業務内容はどんなもので・どれくらいの割合か、といった部分を確認したほうがよいでしょう。

給与とか手当とか勤務時間の待遇面も確認事項ですが、業種と商材、対応業務とその割合により、仕事のハードさが別次元クラスで違います。

薄利多売な小売業の営業事務だった事務たぬきの場合

さて、具体的な体験を交えて、事務たぬきが営業事務をしていたときの話です。

事務たぬきの場合、薄利多売かつ現場ですぐ必要とされる商品の小売業をする会社での営業事務でした。
営業担当の事務サポートをしつつ、顧客から入ってくる注文や問い合わせにも随時な対応が求められます。

コールセンターで顧客対応しながら、資料作成やファイリング業務も行う、といったイメージです。

毎日、ひっきりなしに電話がかかってきます。
注文や問い合わせは電話だけでなく、ファックスやメールでも来ます。
それらもこまめにチェックして、注文分は振り分けて、発送対応しなければなりません。

自社の在庫品でない商品はメーカー発注して取り次ぎますが、メーカーごとに当日出荷の受注締切の時間が設定されています。

メーカーごとのシビアな出荷締切とか条件の例
  • A社の商品は10時までの発注で当日夕方発送、翌朝着
  • B社の商品は12時までの発注で翌日発送、翌々日中着
  • B社の商品を当日発送してほしい場合は別途運賃が発生する
  • C社の商品は受注生産のため都度納期を確認する

……などなど、主だった取次商品の出荷締切と到着予定を把握し、注文を受けた時点で顧客に伝えられないと、二度手間やトラブルが発生します。

基本的に注文した翌日には届くと考えているお客さまが多く、そうではないならその場で伝えないと、改めて連絡する手間がかかります。
あらためて納期を伝えたら、それで承諾してもらえるかというと、そうでないこともあり……

「すぐ届くと思ったから注文したのに、明後日になるならもうあんたのトコでは買いません!」
「なんで注文したときに到着が遅くなるって教えてくれないの!?」

……なんてお叱りを受け、最悪、営業担当を呼べとか言われてしまうので……迅速かつ的確な対応が必須でした。

もし、1点あたりの単価が高い商品を扱う会社なら、毎日の受注量はもっと少なく、電話が常に鳴り響く状態ではないのではと思います。

それこそ、注文受付の窓口にコールセンター部門があり、営業事務は資料作成が中心。
外線電話に出るとしても顧客からの注文ではなく、得意先からの見積や問い合わせ、仕入先との交渉関係が中心とか、そんな働き方かもしれません。

注文してからの納期にも余裕があり、落ち着いて仕事ができたのかなぁ……と考えます。

営業事務は忙しい?ブラック仕事?

事務たぬきが営業事務で働いていた職場はかなり忙しく、会社の体質的にもブラックでした。

でも、営業事務の仕事とブラックな職場がイコールとは限りません。
そして、忙しさは業務の量や幅によるところも大きいはずです。

繰り返しますが、事務たぬきがいたのは薄利多売の小売業で小規模な会社です。
営業事務が対応する業務の幅は広く、サポートする営業担当は何十もの得意先を持っており、それぞれの資料作成やファイリングもしなければなりませんでした。

だから、常に優先順位をつけて、仕事を捌く必要があったんです。

基本的にメーカーの出荷締切がある受発注業務が最優先。
常時入ってくる注文依頼にはすぐ対応しないといけないものが多いため、締切のない資料作成やファイリングは後回しです。

とはいえ、資料作成だって急ぐときはあるもので……
「明日得意先に提出するから、今日中に資料をまとめておいて
という依頼がポンと来ることも……

ファイリングもずっと放置していたら、得意先に「あの時出してもらった内容で注文します」って言われたときに、どれだか分からなくなります。
だから、どこかのタイミングで整理しなければなりません。

結果、メーカーの出荷締切の多い午前中は発注業務を優先。
午後は発注業務を捌きつつ、資料作成し、残業時間にファイリング作業、というパターンが多かったでしょうか?

定時で帰るなんて高望みはできず、終電にならなければよいほう。
疲労とストレスからミスが増えて、リカバリーのために残業が増えます。
ただし、ミスをリカバリーするための残業は残業代を請求できなかったので(これはおかしいのだけれど、そういう暗黙のルールがあった)、給料は増えず帰宅時間が遅くなる一方。

疲弊→ミス誘発→サービス残業→疲弊→ミス……という、見事な悪循環に陥りましたとさ……。

営業事務=ブラック求人ではない

事務たぬきの体験談だけを見て、営業事務はブラックな仕事だとは思わないでください。

体制が整っている職場なら、働きやすい営業事務もあるでしょう。
営業担当1人に専属の営業事務が1人というマンツーマン体勢ではなく、チームでサポートするタイプの営業事務もあると思います。

なにより、理由に関係なく残業代は支払われるべきだし、業務負担が大きい社員がいるなら管理者側は調整するべきです。

でも、当時は会社が倒産して拾われたという負い目のようなものがあって、とにかく必死に食らいついて仕事していたから、そういう当たり前のことに頭がまわらなくなっていたんですね。

あの頃の自分に、ちょっと休んで冷静に状況を考えて見ろと言ってあげたいところ。
ミスを連発して、泣きながら終電で帰宅し、家族に心配かけた日もあったのでね……
メンタルに来ていたのは間違いないです。

ブラックな労働をしていた背景には人間関係の問題も

今、冷静にあの時を振り返ると、自分がブラックな働き方になっていた背景には人間関係の問題もあったように思います。

完全に立ち回りをミスって同僚との関係構築ができておらず、人間関係が良くなかったんですね……
だから、手一杯になっていても助けを求められず、面倒な仕事がどんどんこちらに回される事態に陥りました。

人間関係が悪化した一番の理由は、事務たぬきが上層部に気に入られてしまったからです。

とにかく、必死に食らいついて、仕事を覚えようとする姿勢は好印象だったんでしょう。

「無理です」「できません」「やりたくありません」は、口にしないようにしていました。
「やってみます」「こうすればできそうです」「頑張ります」という反応を返すことが多かったでしょうか?

不平不満を言わず、とにかく全力でやろうとするガッツを見せる……
それ自体は悪いことではないのかもしれません。

でも、そうした頑張りが評価されて上層部から気に入られた場合、小規模な会社だとその様子は周囲の人たちの目にも入りやすいです。
狭いコミュニティのなかで、何かと上の人間が気にかける奴がいると「あいつは贔屓されている」と、悪目立ちしますよね?

「自分より後から入ってきた人なのに上層部からよく声をかけられている」
「ミスを連発しているのに上から庇われている」
「まだ入社して数ヶ月なのに褒められている」

一部の人からは、そんな感情を持たれていたのではないかと推測しています。

もっと同僚との関係作りを重視していたなら、ほどほどの残業で済んでいたのかもしれません。
ただ、どうすれば同僚のヘイトを抑えられたかは、今でも分かりません。

営業事務で働くときに注意したいポイント

事務たぬきの経験から、営業事務で働くときに注意したいポイントは……

  • 会社の事業内容と受け持つ仕事を理解する
  • 待遇を確認する
  • マルチタスクが得意かを考える
  • 業務コミュニケーションと職場内の関係作りに気を使う

このあたりですかね。

事業内容と仕事内容はマスト

とにかく、事業内容・仕事内容は十分確認しておくことをおすすめします。

事業が薄利多売なタイプだと、労多くして功少なしな可能性が考えられます。
たくさん売らないといけないので、やるべき仕事が絶え間なく続く可能性が高いです。

1つ販売して10円の利益という商品を売るなら、10万円稼ぐには1万個売る必要があります。
一方、1つ販売して1万円の利益なら、10個売るだけで稼ぎは同じです。

金額が違うので、商品の性質とか売りやすさも違うので、一概にいえませんが、数多く売るには手間もある程度比例して忙しくなります。

でも、薄利多売なタイプの事業でも、細々とした部分は自動化や効率化を図っているのなら、そこまで大変ではない可能性もあるでしょう。

給与や残業時間などの待遇確認も忘れずに

そして、給与形態や残業時間、有給取得の実績など、待遇面もしっかり確認しておきたいところ。
転職エージェントを利用するなら、聞きにくい部分も突っこめると思うので活用してください。

基本給が低く、残業ありきの給与モデルが提示されていると「しょっちゅう残業があって、それでようやく人並みの給与になっているのかな?」と思います。

あるいは、月○時間までは手当に含むというケースも、その時間数は何を根拠にして設定されているのか気になります。
繁忙期の上限なのか、日常的に毎月それくらいの残業が発生しているのかで、残業の頻度が違うでしょう。

マルチタスクできないと営業事務は難しいかも?

事務職はマルチタスクを求められるケースがあります。
机に向かい、1つの仕事を黙々集中してやれるとは限りません。

特に営業事務の場合、営業担当に代わって得意先の対応をしたり、顧客の急な要望に応えたりという場面もあります。

自分が考えていた予定通りに仕事を進められないこともあり、イレギュラーがあるたびに優先順位を振り直して対処しなければなりません。
ときには、複数の仕事を並行して進めることだってあります。

マルチタスクで進めるのはしんどい、何かに集中すると周りが見えなくなる、というタイプの人は正直、営業事務の仕事に就くとかなり苦労するんじゃないかなと思います。

逆に、その時々で切り替えて、イレギュラーも楽しんじゃえるような人だと、営業事務の仕事が上手くいきそうです。

孤立せず、協力関係を築くのも重要

たかが仕事上の付き合い、されど仕事上の付き合い、です。

事務たぬきの場合は解決策がわからなかったわけですが、周りへの目配り気配りはやはり大切です。

お互い気持ちよく仕事ができるように、何かあったら協力し合える関係を作る能力に長けていると、かなり仕事がやりやすいと思います。

この記事を書いた人
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事務たぬき

事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。