最終学歴が高卒でも事務職に就くには?必要なスキルや求人の探し方を解説
求人情報を見ていると、応募資格に「大学卒業以上」とするものがあり、最終学歴が高卒だと希望の職種に就くのは難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
確かに、仕事内容によっては専門知識を必要とするため、特定の教育課程を卒業していることを条件とするケースはあります。
そのような仕事を志すならば、学歴の要件を満たさないと採用されるのは困難です。
しかし、特定の教育課程を卒業していることを条件としない求人もあるため、高卒だから仕事が見つからないとは限りません。
一般事務のような事務職の場合、高卒でも働けるケースはあります。
今回は、最終学歴が高卒の人が事務職に就く場合、どのようなスキルやステップが必要かを解説します。
事務職は学歴よりもスキルや実務経験が重要
事務職の多くは、特定の教育課程を終えていることを条件としていません。
パソコン操作や簿記、ビジネスマナーなど、必要なスキル・あると有利な資格は存在しますが、それらは最終学歴に関係なく身につけられるものです。
場合によっては、就職・転職後に身につけることもできるでしょう。
スキルにはコミュニケーション能力を含めた人間性が求められることもあり、バックオフィス業務の担い手として、部署内での円滑な対応ができる人物であるほうが有利です。
また、転職においては学歴よりも実務経験のほうが重視されるでしょう。
事務職から事務職へ転職する場合は、過去どのような業務に携わり、成果を出してきたかが重要です。
他の職種から事務職へ転職する場合は、事務職でも活かせる経験をアピールすると良いでしょう。
最終卒業学校が高校の人ってどれくらいいる?
令和2年国勢調査の結果から作成された「ライフステージで見る日本の人口・世帯」によると、2020年における「最終卒業学校の種類別割合」は以下の通りです。
最終卒業学校 | 割合 |
小中学校 | 14.0% |
高校・旧中 | 44.2% |
短大・高専 | 16.2% |
大学 | 23.1% |
大学院 | 2.4% |
この情報を見ると、4割以上の方が高卒で働いているような印象を受けます。
しかし、この調査は15歳以上を対象にした調査であるため、短大や大学、大学院などに在学中の方も高卒者に含まれることを忘れてはいけません。
もう少し、国勢調査の結果を深掘りするため、年齢別の最終卒業学校についてデータ抽出すると、以下のようになります。
最終卒業学校 | 小中学校 | 高校 | 短大・高専 | 大学 | 大学院 | 不詳 |
15~19歳 | 15.06% | 84.93% | – | – | – | 0.01% |
20~24歳 | 3.47% | 41.00% | 17.08% | 22.82% | 0.41% | 15.22% |
25~29歳 | 3.08% | 24.73% | 14.26% | 33.59% | 3.80% | 20.54% |
30~34歳 | 3.84% | 26.38% | 15.79% | 31.06% | 4.36% | 18.57% |
35~39歳 | 4.47% | 28.49% | 17.71% | 27.60% | 4.12% | 17.62% |
40~44歳 | 4.19% | 31.38% | 20.38% | 24.33% | 3.47% | 16.24% |
45~49歳 | 4.81% | 35.69% | 20.97% | 20.70% | 2.65% | 15.17% |
大学や大学院を卒業している年齢にあたる、25歳以降のデータに着目すると、最終卒業学校が高校という人の割合は下がります。
40歳代以降は3割ほどですが、25歳以降から30歳代においては3割未満という結果です。
高卒の人が事務職で働く場合、あると有利なスキルとは?
高卒で事務職の仕事に就く場合、学歴はあまり重視されませんが、あると有利なスキルは存在します。
それは、事務職が対応することの多い業務に関連するスキルです。
- データ入力
- 書類作成
- ファイリング
- 電話・来客対応
- 備品や設備の管理
これらのスキルは、高校卒業後に大学や専門学校へ通わなくても身につけられます。
事務職で働きたいと思う方は、独学や通信講座、スクールなどを活用して習得すると良いでしょう。
パソコンスキル
事務職が受け持つ業務には、データ入力や書類作成、メール送信などがあるため、パソコンスキルは不可欠です。
利用頻度の高いWordやExcelは、最低でも基本操作ができることが求められます。
操作スキルを可視化するには、MOSなどの資格に挑戦するのがおすすめです。
また、企業によっては独自の業務システムを使用しているケースもあります。
操作方法が特殊であったり、マニュアルが整備されていなかったりすることもあるでしょう。
見慣れないシステムに対して抵抗感を覚えず、操作方法を習得する姿勢も必要です。
対人スキル
事務職は、事務所内で黙々とデータ入力や書類作成だけできるとは限りません。
多くの職場では、電話対応や来客対応も必要とされ、事務職で働くならばコミュニケーションを円滑にする対人スキルも必要です。
言葉づかいや接遇マナーなど、基本的なビジネスマナーを身につけておきましょう。
部署内の協力や他部署との連携においても、コミュニケーションは必要です。
事務職は1人だけという職場であっても、誰とも関わらずに仕事することはないでしょう。
むしろ、事務職こそ、対人スキルが重要ともいえます。
対人スキルは、事務職以外の職種でも身につけられるでしょう。
接客業での経験や普段の人付き合いから習得できることが多いため、事務職が未経験でも対人スキルは身についていることもあります。
その他専門スキル
ひと言に事務職といっても、さまざまな職種にわかれており、業界や企業によっては特定の専門スキルが求められるケースもあります。
たとえば、経理事務で働きたいなら日商簿記に合格していると有利に働きます。
海外との取引が多く、メールや電話で英語を使う機会があるなら、ビジネス英会話のスキルが必要です。
高校卒業から日が浅い若年層の場合、採用時点では専門スキルの習得までは求められないこともあるでしょう。
しかし、キャリアアップを考えると必要となる可能性が高いため、未習得のままというわけにはいきません。
必要に応じて学ぶ姿勢も大切です。
高卒で事務職を選ぶ場合の注意点
高校卒業後の進路や高卒で仕事に就いてからの転職先に事務職を選ぶ場合、以下で紹介する点に注意しましょう。
「なんとなく事務職でいいや」「コツコツ自分のペースでやれて楽そうだから…」などの理由で事務職を選ぶと、後悔するかもしれません。
バックオフィス業務でもコミュニケーション能力は求められる
事務職を選ぶ人の中には「事務職なら顧客と対話する機会がなさそう」「黙々と作業に集中できそう」と考えている方もいるかもしれません。
対人関係やコミュニケーションに不安があり、静かにコツコツ仕事がしたいと思い、事務職を希望するケースです。
しかし、バックオフィス業務がメインとなる事務職ならば、コミュニケーション能力が不要というわけではありません。
確かに、バックオフィス業務を受け持つ事務職ならば、客先を訪問して打ち合わせをしたり、接客して商品をすすめたりといった業務はないでしょう。
だからといって、仕事上のコミュニケーションが不要というわけではなく、部署内や関係部署との対話は必要です。
むしろ、業務を円滑に進めるために、事務職こそコミュニケーション能力が重要なケースもあります。
何にやりがいを感じるか・どんな仕事がしたいか考える
「やりたい仕事が思い付かないから、事務職でサポート業務をしよう」という動機で事務職に就くのはおすすめしません。
この動機でも、結果的に事務職の仕事が合っていたという人もいるでしょう。
しかし、やりがいを感じられなかったり、つまらない仕事に思えたりする人もいるため、「なんとなく」で仕事を決めるべきではありません。
事務職は、ルーチンワークで成果が評価されづらい一面のある仕事です。
そうした部分に嫌気が指し、やりがいを感じられない人もいるでしょう。
「裏方のサポートに回って、誰かの成功を助けたい」「直接評価されなくても、チームの成果に貢献できると嬉しい」と考えられる人ならば、事務職の仕事が向いています。
「自分の提案やアイデアを実現して、成功を掴みたい」という思いが強い人は、あまり向いていないと考えられます。
高卒で事務職の求人を見つける方法
高卒で働ける事務職の求人を見つけるには、以下の方法が考えられます。
学校に送られてくる求人情報から探す(在学中の場合)
高校在学中で、卒業後の進路は就職という場合、学校に届く求人情報から希望する仕事を探しましょう。
学校で求職票が公開されるのは、例年7月1日以降です。
学校側も就職を希望する生徒に対し、相談や指導を行なうので活用しましょう。
企業への応募や採用選考は9月になってから。
希望する企業への就職が叶うよう、しっかり対策して臨みましょう。
ハローワークや民間の求人サービスで探す
学校に届く求人情報だけでなく、ハローワークや求人情報サービスを使った情報収集も重要です。
すでに高校を卒業している人の場合、学校経由の求人には応募できないため、自分で求人情報を探す必要があります。
ハローワークは全国に拠点が設置され、就職困難者への就労支援も行なう、雇用のセーフティネットを担っています。
求人情報の掲載は無料でできるため、地域の中小・零細企業が採用活動に利用することが多いサービスです。
一方、民間の職業紹介事業者が提供する求人サービスは、多くが都市部に拠点を設置しています。
大きな都市の求人情報が多く集まり、地域によってはほとんど求人情報が見つからないこともあるでしょう。
求人情報を掲載するには手数料がかかるため、採用活動に予算を多く取れる企業が利用しています。
それぞれ強みが異なるため、どの地域で働くのか・希望する条件はどの程度かなどにより、使い分けが必要です。
事務職特化や高卒向けのエージェントを利用して探す
民間の求人サービスのなかには、求職者の希望やスキルに合った仕事を見つけて紹介してくれる、転職エージェントが存在します。
求職者自身が求人情報を検索せずとも、希望とマッチする情報を見つけられ、採用を勝ち取るための指導が受けられるサービスもあります。
エージェントサービスの中には特定の業界や業種に特化したものがあり、事務職の求人や高卒者をターゲットにしたサービスも登場しています。
高卒で事務職を目指すなら、こうした特化型のエージェントも活用しましょう。
まとめ
事務職の多くは、学歴よりも事務職の仕事で必要なスキルと実務経験が重視されます。
特定の教育課程や資格を有していることを必要としないため、高卒でも働ける職種です。
パソコンスキルや対人スキルを備えていると、採用の場では有利に働くでしょう。
高卒で事務職の求人を探す場合は、ハローワークや民間の求人サービスも活用し、広く情報を集めることが大切です。
高卒者や事務系の求人に強い求人サービスもあるため、上手く使って希望の仕事に就きましょう。

事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。
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