事務職の目標設定ってどうするの?目標設定したほうがいい理由と具体例を紹介

2024年10月29日

年度初めや期初になると、「今期の目標を立てて提出してください」と職場から指示される人も多いことと思います。

とはいえ、売上ノルマや営業成績のように、明確な指標がない事務職の人は「何を目標にすればいいの?」と戸惑う人もいるはずです。
「事務職に目標設定って必要なの?」「書類作成やサポート業務が中心の事務が目標にすべきことって何?」と、目標設定の必要性に疑問を感じる人もいるでしょう。

一見、意味がないと感じる事務職の目標設定ですが、実はきちんと行うことでプラスに働くきます。
目標設定は、仕事のやりがいやキャリアの方向性を明確化するステップとして役立つため、活用しましょう。

この記事では、事務職も目標設定すべき理由や目標の立て方・考え方、目標設定の具体例を解説します。
人事や上司に提出するためだけでなく、自身の成長につながる目標を一緒に考えましょう。

広告

事務職も目標設定が重要な理由とは?得られる3つの効果

営業職や販売職などの職種は、仕事の成果が明確です。
目標を設定し、達成に向けて取り組む過程と結果を受けての振り返りが必要であると理解できます。

しかし、事務職の仕事は売上に直接つながらない業務が中心であり、目標を立てる意味がわかりづらく感じても無理はありません。

では、事務職は目標設定をしなくてもよいのでしょうか?
実は、事務職も目標設定をすることでよい効果が得られるのです。

事務職が目標設定することで得られる効果
  • 業務改善・効率化ができる
  • 人事評価や給与アップを狙える
  • 仕事に対するモチベーションや成長につながる

業務改善や効率化ができる

自身が受け持つ業務を見直し、業務改善や効率化に取り組む際にも目標設定は役立ちます。

業務改善する場合、「今よりも早く仕事を終わらせよう」と、漠然とした目標では達成が困難です。
いつまでに・どの業務を・どれくらい改善するか、具体的な数値を設定したほうが進捗状況を把握しながら進められます。

仕事を効率よく進められるようになれば、ほかの業務に携わる機会が増えたり、残業を減らしてプライベートを充実させたりできるでしょう。

人事評価や給与アップを狙える

きちんとした目標を設定し、達成に向けた取り組み結果を示すことができれば、人事評価においてプラスの効果を得られます。
給与・賞与のアップも期待できるかもしれません。

目標設定をしなくても、仕事で結果を出すこと自体は可能です。
しかし、会社側に目標を共有していないと、各個人が何を達成するために動いているかが伝わりません。
結果が出ても、個人の努力によるものなのか、ほかの要因があったからかがわかりづらくなり、評価につながらない恐れもあるでしょう。

人事評価や給与アップを狙いたい場合も、目標設定と会社側への目標共有は必要です。

仕事に対するモチベーションや成長につながる

日々、何となく業務をこなすよりも、目標を意識して業務にあたるほうが、モチベーションや効率化につながります。
目標設定が面倒に感じてたとしても、ぜひ、取り組みましょう。

もし、事務の仕事が暇だ・退屈だ・やることがないと感じているなら、目標を立てて業務にあたれば、解決するかもしれません。

事務職が目標設定するときの考え方

事務職にも目標設定が必要だと解説しましたが

「実際にどう立てればいいのかわからない」
「目標を考えても思いつかない」

と感じ、目標設定を難しく思っている方も多いのではないでしょうか。

事務職が目標設定を難しく感じる理由と、考え方のコツを紹介します。

事務職が目標設定を難しく感じる原因

事務職の目標設定が難しい理由は「数値化しづらい業務内容」にあります。

たとえば、営業職ならば「得意先への提案件数を増やす」「成約件数を増やす」といった、数値化できる目標を立てられます。
「現状は○件程度だから、今年は●件以上」と、具体的な数字入れた目標を立てることができ、その数字を意識して業務にあたれます。

販売職の場合も、「販売数を増やす」「顧客フォローを強化してリピーターを増やす」など、数字を組み込んだ目標を立てられるでしょう。

一方、事務職はルーティンワーク中心の業務になりやすく、「達成したことが見えにくい」「数値で評価しづらい」特徴があります。
そのため、何を目標にすればよいかわからず、目標が思いつかないと、悩んでしまうのです。

目標=ノルマではないと理解する

数値化しづらい業務ゆえ、事務職は目標設定につまずいているのではないかとお伝えしました。

また、目標を設定すると
「数字を追いかけて結果を出さなければならない」
「プレッシャーがかかる」
というイメージがつき、苦手意識を持つ方がいることも、目標設定を難しくしているかもしれません。

しかし、事務職における目標設定はノルマとは違います。
営業ノルマ、販売ノルマを掲げて取り組む目標設定も方法の一つですが、目標とノルマは必ずしも一致しません。

たとえば、以下の内容も事務職の仕事において目標となりえます。

事務職の業務で目標にできる事柄
  • 業務フローを見直して月末処理を効率化する
  • チーム内の業務引き継ぎ資料を整理して属人化を減らす
  • お客様対応の丁寧さを意識し、社内評価を高める

これらは数値に表しづらいですが、実際の業務改善や周囲からの評価向上につながる、実効性の高い目標です。
目標が思いつかない場合は、こうした内容を自身の目標にできないか考えてみましょう。

目標は「自分をどう変えたいか」を軸に考えよう

事務職の目標は成果物の数や質ではなく、「行動の質」「仕事への取り組み方」を軸に考えるのがポイントです。

たとえば、「処理スピードを上げたい」「仕事の正確性を高めたい」「もっと周囲をサポートできるようになりたい」など、自分なりの成長イメージを描いて目標を立てましょう。

数字で測れないからこそ、自分の中で意味が目標の設定が大切です。

【例文付き】事務職の目標設定パターン6選

事務職の目標設定は明確な数値が立てづらいですが、目的に合わせたテーマから考えると、見つけやすくなります。

ここでは6つのパターンを例に挙げ、目標の例を紹介していきます。
目標が思いつかなくて悩んでいる事務職の方は、参考にしてみてください。

なお、目標を立てるときに意識すべきは、「立派な内容」ではなく「実現できる内容」です。
無理に背伸びしたり、現実離れした目標を設定したりすると達成できません。

まずは、自分の担当業務や得意なことから実現できそうな事柄に注目して、目標を設定しましょう。

例1:業務の効率化を図って処理速度を上げる

いつもルーティンで行っている業務の処理速度を上げれば、時間に余裕が生まれます。
余裕ができれば他の業務に取り組む時間を作ったり、残業時間を減らしたりできるでしょう。
小さな改善の積み重ねが大きな成果につながります。

また、具体的な数字や方法を交えて目標を立てるほうが、上司や人事にも伝わりやすくなります。

目標設定の例文

ショートカットキーやマクロを活用して、データ入力業務にかかる時間を月10%削減する

メールの定型文を整理・登録し、問い合わせ対応時間を1件あたり2分短縮する

ファイリングや書類整理の手順を見直し、1日あたりの処理件数を20件から30件に引き上げる

毎日のタスク管理をツールで可視化し、業務の抜け漏れを防ぐ体制を整える

例2:ミスやトラブル防止の業務改善に取り組む

業務の正確性を高めることも、立派な目標になります。
事務の仕事は滞りなくできて当たり前と思われがちなため、ミスやトラブルが起きない体制作りは重要です。

「ミスを減らす」「再発防止策を講じる」といった目標を設定し、達成できれば、評価にもつながりやすいでしょう。

目標設定の例文

書類提出前のチェックリストを作成・活用し、1ヶ月間ミスゼロを継続する

ダブルチェックのルールを明文化・共有して、入力ミスを削減する

外部送信前の書類について、ファイル名と内容の最終確認ルールを新設する

よくあるミスの傾向を分析し、改善策を部内ミーティングで提案する

過去のトラブル事例を5件ピックアップし、対応策と学びを資料化・共有する

例3:業務のマニュアルを整備する

いつものルーティンになっている業務は、マニュアルが整備されていないことも珍しくありません。
そうした細かな業務を見直し、マニュアルを整備することを目標にしてもよいでしょう。

業務の属人化を防ぎ、組織の安定性を向上する効果が得られます。

退職・異動・休暇時の対応力を高める目的でも、有効な目標です。

目標設定の例文

担当業務の手順をテキスト+スクリーンショットでマニュアル化し、社内共有フォルダに格納する

既存のマニュアルを3ヶ月かけて更新し、不明瞭な表現や手順の抜けを修正する

休暇時でも他メンバーが対応できるよう、日次・週次業務のポイントを整理してリスト化する

業務フローを図式化し、新人にもわかりやすい業務説明資料を作成する

例4:同僚のサポートや後輩を指導する

普段、何気なく手伝ったり、仕事を割り振ったりしていることを目標に織り込んでしまうのも手です。

自分の仕事だけでなく、周囲を支える役割も事務職の大切な役割です。
特に後輩の育成や繁忙期のフォローは、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。

また、誰に対して、どんなことを手伝っているのかを洗い出すと、その人の弱点が見えてくることも。
他者の成長に必要な気付きを与える機会作りにもなるでしょう。

目標設定の例文

新入社員向けに「業務習得スケジュール表」を作成し、進捗管理をサポートする

後輩の質問対応ログを記録し、繰り返し聞かれる内容をFAQとしてまとめる

チーム全体の残業時間が増えた際、負荷分散案を週次ミーティングで提案する

チーム内のヘルプ要請を見える化するボードを導入・運用する

例5:良好な職場環境づくりに貢献する

業務の進め方に直接関係しないように見えるかもしれませんが、チーム内の雰囲気づくりや信頼関係の構築も重要な仕事です。
こうした取り組みも、目標として明文化することで行動につなげやすくなります。

目標設定の例文

月1回「業務改善アイデア募集日」を設け、提案しやすい雰囲気を醸成する

雑談しやすいオープンスペースの活用ルールを整備・周知する

チームメンバーの誕生日を共有し、ちょっとしたメッセージ文化を提案する

例6:仕事に役立つ資格を取得する

職場で取得を推奨されている資格があるなら、受験と合格を目標とするのもおすすめです。
事務職の人は必須でない資格も取得することで、会社の事業に対して理解を深められます。

また、資格合格というわかりやすい目標ができるので、やりがいもあるでしょう。試験に向けた学習が学びの機会となり、新しいキャリアパスが拓けるきっかけにもなります。

目標設定の例文

年度内に日商簿記2級を取得し、月次処理や決算補助業務に活かす

ExcelのMOS資格(Expert)を取得し、業務改善の提案に活かす

ビジネス実務法務検定3級を取得し、契約書対応の知識を強化する

年内にTOEIC600点以上を目指し、外資系クライアントとのやりとりにも対応できるスキルを身につける

目標設定のやり方を3つのステップで解説

目標設定の必要性や目標の具体例を紹介してきましたが、ここからは目標設定のやり方を解説していきます。
自分に合う目標を見つけて、成長につなげましょう。

ステップ1:現状分析

まずは現状を分析し、自分の強み・弱み、興味関心を洗い出しましょう。
そのうえで、現在の業務内容と課題点を明確にすると、何を目標にすればよいかがわかりやすくなります。

ステップ2:目標の決定

現状分析から見えてきた課題点に対し、何をすれば解消できるかを考え、目標を決定しましょう。

たとえば、事務処理の手続きがわからないと、度々質問を受けていて通常業務が滞るなら、マニュアル整備を目標にすることが考えられます。

この場合

  • マニュアルを作るする
  • わからない人はまずマニュアルを見て対応してもらうよう周知する

という、2つの目標に分けられます。

ステップ3:目標達成のための行動計画

目標が決まれば、目標設定は完了というわけではありません。
達成に向けた行動計画を立て、実行してこそ、目標設定したことが活かされます。

最終的な目標点に向けて小さな目標に分解し、具体的な行動計画を立てましょう。
時々、進捗状況を確認し、目標達成に向けて進んでいるかの振り返りも大切です。

キャリアについての目標も考えてみよう!

目標を設定して日々の業務を進めれば、ルーティンワークで退屈に感じていた事務職の人も、仕事に張り合いが出るのではないでしょうか。
もし、今の仕事自体に不満を感じているなら、職場で指示される目標設定だけでなく、自身のキャリアについても目標設定してみましょう。

5年後や10年後、自分はどうなっていたいか、今の職場で働き続けるのか、転職も選択肢かなどを考えるうちに、新しいキャリアが拓けるかもしれません。
そうした自身のキャリアも踏まえたうえで、仕事の目標も考えると、より具体的な行動につながります。

自身のキャリアプランがわからない、迷うという場合は、キャリアカウンセリングを受けるのもおすすめです。

まとめ:事務職も目標設定して自身の成長に役立てよう

事務職の目標設定は、仕事の成果を数字で表しにくいため、難しく感じる人もいるでしょう。
しかし、目標設定は数値化できることばかりではありません。目標設定はノルマとは異なることを意識して、自分に合った目標を考えてみましょう。

仕事で目標を持てばやりがいが生まれ、自身のキャリアを考えるきっかけにもなります。
目標設定を通じて、自己の成長につなげましょう。

この記事を書いた人
アイコン画像(事務たぬき用)
事務たぬき

事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。

広告