事務職に必要なスキルとは?求められる能力やおすすめ資格、向いている人を解説
事務職は負担が少なく、残業が少ないなどの理由から人気のある職種です。しかし、必要なスキルや向き・不向きがあるため、安易な気持ちで「楽そうだから」と事務職で働き始めると、後悔するかもしれません。
この記事では、事務職に必要なスキルやおすすめの資格、向いている人の特徴を紹介しています。自分が事務職に向いているタイプか確認し、就職や転職、キャリアを考える際の参考にしてください。
そもそも事務職って何をする仕事?
事務職は主に企業のバックオフィスで書類作成や処理、データ入力、電話対応など、さまざまな業務を担います。企業がスムーズに運営できるよう幅広いスキルが求められ、事業活動において欠かせない存在です。
欠かせない存在ではあるものの、事務の仕事は営業や販売、企画部門などとは異なり、会社利益に直接関わりません。会社への貢献度が見えにくいため、「誰にでもできる仕事」と思われがちです。
では、事務職は誰にでもできる簡単な仕事なのでしょうか?
身体的な負担は少なく、営業成績や販売ノルマといった負担がない点は、楽にできる部分かもしれません。定時に退社できたり、残業が少なかったりする事務職もあるため、ワークライフバランスを重視したい人にとって人気のある職種です。
しかし、事務職で働く方からすると、事務には事務なりの大変さや難しさ、適性がないと続かないと感じる部分があるのではないでしょうか? 一見、誰にでもできるように見える事務職にも、必要とされるスキルは存在します。
事務職に必要なスキル
事務職で求められるスキルは多岐にわたりますが、押さえておきたい必須スキルを紹介します。
コミュニケーション能力:裏方で仕事を円滑に回そう
同僚や上司、他部署との円滑なコミュニケーションは、仕事を進めるうえで不可欠なスキルです。コミュニケーションは対面での会話だけでなく、電話やメールの対応も含まれます。電話や来客対応にあたる機会もあるため、外部とのコミュニケーションが必要なシーンも。
いずれの場合も、ビジネスマナーをわきまえた受け答えと、相手の意図を正確に理解する能力が必要です。表立った成果につながるスキルではありませんが、裏方で仕事を円滑化させるため、事務職にはコミュニケーション能力が求められます。
飛び込み営業や接客はないので、事務職はコミュニケーションが苦手でも何とかなる、コミュニケーションは苦手だから事務職のほうが合っている、そんなふうに思ってる人、いませんか?
実は、事務職こそ、コミュニケーション能力が大事だったりするんです。
もちろん、指示されたデータ入力や書類作成を黙々とこなすだけでよい事務職ならば、コミュニケーション能力は不要かも知れませんが……実際問題、そのような職場は滅多にないでしょう。あったとしても、家族経営の小さな事務所とか、そんなレベルの話だと思います。
事務部署を複数人で回しているらば、部署内での役割分担や連携に際して、コミュニケーションが取れなければ損な役回りになることも珍しくありません。事務選任は1人という場合も、他部署から回ってくる仕事を上手く回すにはコミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーションは苦手だから事務職に就きたい、と考えている人は、よくよく考えて欲しいなと思います。
PCスキル:ワード・エクセルを使いこなして新しいツールも活用
データ入力や書類作成・処理などが主な業務となるため、事務職で働くならばPCスキルは外せません。Word、Excelの基本操作は、指導されるまでもなくできることが望ましいでしょう。
また、職場によっては専用ツールを使っているケースもあります。各種決裁や業務管理、書類提出などに使われているツールも使いこなせなくてはなりません。
パソコンを使った作業に抵抗がなく、新たなツールも使いこなせるようになるスキルが求められます。
昨今の新入社員は、自分たちの世代よりも早くからPCに触れる機会があっただろうし、WordとかExcelとかバリバリなんだろうなと思っていたことがありました。大学のレポートの提出とか課題作成とかに使いまくってて、私よりもPC使えるんじゃないかなって。
でも、毎年やってくる新入社員の多くはごく初歩の操作しか知らない感じの人がほとんどで……なんかちょっとでも関数を触ろうものなら、パニック起こすとかもありました。
気が付くと実務でスキルを積み上げてきた自分がPC操作においては無双状態になっていて……下手すると社内SEか何かみたいな感じでしょっちゅう、パソコンに関する質問を受ける羽目に。
お願い、私の仕事をさせて……。
スケジュール管理能力:締め日や提出期限に間に合うよう調整する
事業所単位で提出書類の取りまとめを、事務職が対応するケースは珍しくありません。健康診断の受診希望、年末調整の書類、決裁書類を権限者にまわすなどの業務には、提出期限が付きまといます。
提出期限の周知徹底や遅れがちな人へのフォローなどを含め、スケジュール管理能力も事務職に必要なスキルです。
業種・職種ごとの専門知識
事務職ならばどの業種・職種でも同じというわけではなく、分野ごとに専門知識が必要なシーンもあります。自社の事業内容、扱っている商品・サービスについて知らなければ、仕事をスムーズに進められないこともあるものです。
事務職と言ってもさまざまな分野に分かれており、それぞれ求められる専門知識が存在します。たとえば経理・会計部門の事務職ならば簿記の知識が必要ですし、人事労務の部署ならば労働に関連する法律知識が求められるでしょう。
会社が属する業界や配属されている部署の特性を考え、必要な知識を身につけておくことも大切です。
事務職でスキルアップ・キャリアアップにつながるおすすめ資格
事務職で求められるスキルを伸ばし、キャリアアップを考える際にも役立つ資格を紹介します。
ただし、ここで紹介する資格は一例であり、どのような資格がキャリアアップに必要かは状況により異なります。むやみやたらと資格取得するのではなく、事務職でどんな仕事がしたいか、今後どんなポジションに就きたいかを考えて取得しましょう。
MOS(Microsoft Office Specialist)
MOSは「Microsoft Office Specialist」の略で、WordやExcelなどの操作スキルを証明する資格です。
事務職では書類作成やデータ入力などでOffice系ソフトを操作する機会が多いため、MOSを取得していればスキルを証明できます。資格取得に向けた学習を通じて操作スキルが向上すれば、日々の業務にも活かせます。
事務職での転職を考える際も、ただ単に「WordとExcelが使えます」と言うより「MOSを取得しています」と伝えられたほうが、アピール力が増すでしょう。
簿記
簿記は、事務職のなかでも経理分野で働く場合に、基礎知識の習得に有効な資格です。指示されるまま仕訳入力するのではなく、内容を理解して処理できれば作業の正確性を高められます。
転職に際しても、経理分野の事務職で働きたいと考えるなら、簿記の資格は十分なアピール材料です。まずは3級から挑戦し、可能ならば上位の級も取得しましょう。
ITパスポート
ITパスポートは、 ITに関する基礎知識を証明する国家資格です。IT化が進む現代において、ITパスポートの取得はITリテラシーの向上に役立ちます。
日々の業務に活かすほか、 IT業界への転職や業務のIT化プロジェクトへ参画する事務職の人にもおすすめの資格です。
TOEIC
TOEICは、ビジネス英語能力を測るテストです。グローバル化が進むなか、仕事で英語力が必要な場面は増えています。海外との取引がある会社や顧客に英語を話す人が多い仕事なら、事務職も英語力が求められます。
海外とのやり取りで役立つほか、グローバルな企業への就職を考えている場合にもTOEICへの挑戦は有効です。まずは、ビジネス文書の読解や簡単な会話ができるレベルとされる600点を目標に挑戦してみましょう。
英語が得意な人はさらにうえを目指し、ビジネス文書の書き方や会議での発言ができるレベルとされる730点が目標です。専門的な内容の英語の資料を読み、海外の人とも円滑にコミュニケーションが取れるレベルを目指すなら、800点以上が目標です。
G検定
G検定は、データサイエンティストの育成を目的として、近年登場した資格です。検定合格に向けた学習を通じて、データ分析の基礎知識を身につけることができます。
G検定に合格するとデータ分析のスキルが身につくため、業務効率化や新たなビジネスチャンスの創出に貢献できます。
事務職に向いている人の特徴
事務職に求められるスキルやおすすめ資格を踏まえ、向いている人の特徴を紹介します。特徴にあてはまると感じる人は、事務の仕事で自分らしく働くと良いでしょう。
あまりあてはまらないと感じる人は、事務以外の仕事のほうが向いているかもしれません。自分を見つめ直し、部署異動や転職なども含めた今後のキャリアを考えてみましょう。
やるべき仕事を正確に進められる
業務の効率を高め、仕事を円滑に進めるために、事務職には正確性が求められます。書類作成で些細なミスがあったり、資料の保管場所が的確でなかったりすると、トラブルや業務の停滞を招くでしょう。
自分のやるべき仕事を見極め、正確に進められる能力は事務職に限らずさまざまな仕事で求められます。
突発的な出来事も臨機応変に対応できる
業務を進めるなかで、突発的な出来事に遭遇するケースはあるものです。書類の仕様変更やスケジュールの入替、急な来客対応などにも柔軟に対処できる能力も必要です。
臨機応変な対応力は正確性とともに、さまざまな仕事で必要とされます。
地道な作業が苦にならない
事務職の仕事は裏方であるため、地味な作業が目立ちます。華々しい成果が出るわけではないため、活躍が注目されるケースも稀です。
そのような仕事内容であっても苦にならず、むしろサポートに徹してサポート相手の成功を喜べる人ならば、事務職に向いているといえるでしょう。
スケジュール管理ができる
関連部署にまわす書類を取りまとめたり、期限内に要望をまとめて必要な備品を手配したりと、事務の仕事にはスケジュール管理が付きまといます。
期日を把握し、いつまでに・どの段階をクリアしないといけないかを考えて動ける、スケジュール管理能力は重要です。必要に応じてツールも活用し、スケジュール管理ができる人は事務職が向いています。
周囲への気遣いや根回しができる
チーム内や他部署との連携には、気遣いと根回しも必要です。単純に期日までに指示された業務をこなすだけでは、仕事が円滑に進みません。
たとえば、プロジェクトの進行スケジュールに変更があった場合、関連部署へただ変更を告げるだけでなく、相手の状況を思いやる言葉を添えたほうが好印象です。
「期日は●日から○日に変更されました。つきましてはそちらの処理を×日までにしてください」
という言い方と
「●日までという期日に合わせて動いていただいていましたが、~~なため、○日に変更となりました。つきましてはそちらの処理を×日までにしていただきたいのですが、可能でしょうか? △△の時期とも重なっておりますし、必要ならば可能な範囲で調整いたします」
という言い方とでは、随分印象が異なります。
前者は変更を一方的に通達し、相手の事情を考慮していません。なぜ変更になったかの情報共有もありません。
対して後者はこれまでのことを踏まえたうえで期日変更の理由を添え、丁寧にお願いする伝え方です。相手の事情も考慮し、場合によっては調整も可能であるとしています。
どちらのほうが気分良く、前向きに変更対応に応じられるかは明白でしょう。こうした気遣いや根回しを面倒に思わず、状況に合わせてできる能力も事務職では大切です。
自身の評価よりも誰かの成功のために頑張れる
事務職は裏方に回る仕事であるため、自分がサポートした相手の成功という形で仕事の結果が現れます。自分の頑張りがそのまま自身の成功として注目されるわけではないため、誰かのために陰から支えるという働き方に納得できない人には向きません。
逆に、自身の評価に直接つながらなくても、助けた相手が成功したら嬉しい、他者の成功を通じて達成感を得られるという人なら、事務職に向いているでしょう。
まとめ
事務職に必要なスキルは主に、コミュニケーション能力、PCスキル、スケジュール管理能力です。加えて、業種・職種ごとの専門知識も身につければ、より仕事を円滑に進められるでしょう。
これらの能力があることに加え、仕事の正確性や臨機応変な対応ができ、地道な作業が苦にならない人ならば、事務職が向いているといえます。さらに、周囲への気遣いや根回しができ、誰かの成功のために頑張れる人なら、事務職で活躍できるでしょう。
事務歴十数年のたぬきです。
就職氷河期で苦しみ、合わない仕事に疲れ、転職して事務職に就くも会社倒産。再就職先がブラック体質で心を病み……持ち直して事務の派遣で仕事に復帰したのち直接雇用となるも、仕事量と給与のバランスに納得できず、組織に属することを諦めました。
現在、フリーライターとして死なない程度に生きてます。
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